Case
Study

事例紹介

THECOO株式会社

Case Study. 01

Index

プロジェクト概要

対象
次世代を担う20代~30代若手リーダー層 11名
名称
コーチング研修
内容
1対1のコーチングセッションと対話会のハイブリッド施策
期間
3ヶ月間
提供方法
オンライン
主幹
人事グループ

提案の背景

THECOO株式会社(以下THECOO)では、事業が急成長する一方で、人財育成に充分なリソースを注げないという人事面でのお悩みをお持ちでした。代表である平良さんは、以前コーチングを受けられたご経験があり、ビジネスパーソンが客観的に自身を俯瞰する時間の大切さを体感されていらっしゃいました。

そんな折、よきとものサービスコンセプトにご共感くださり、THECOOで活躍中の若手リーダーの人財育成施策の一環としてコーチングを用いた研修をご採用いただく運びとなりました。

本プロジェクトを実施するにあたって、人事担当役員の國分さんからお預かりしたご意向は、「よくある会社からのお仕着せの研修にはしたくない。受講者ひとりひとりが自らの自己成長の機会として受け取ってほしい」というものでした。

お二方のニーズを受け、設計にあたってまずは本プロジェクトの方向性を「深い自己理解のもと、自分のスタイルでやり抜く​リーダーの育成」と定めました。

プロジェクトデザイン

プロジェクトの大テーマは、「『あきらめないリーダー』になる」としました。これは今回の研修を通じて、受講者である次世代リーダーたちにTHECOOのコーポレートビジョン「「できっこない」に挑み続ける」を体現してもらいたいという願いを込めたものです。

3ヶ月という短期間でパワフルな自己成長を促すため、本研修では、1対1のコーチングセッションを主軸に置きました。加えて、同じタイミングでチャレンジをする仲間の横のつながりと刺激を促すため、参加者全員での対話の機会も設ける仕立てとしました。

今回参加したほとんどのメンバーにとって、コーチングやワークショップといった対話的な取り組みはほぼ初めての体験でいらっしゃいました。そのため、場作りの中では心理的安全性を高め、「この時間はどんな話も聞いてもらえる」と体感していただくことを最重要視しました。 人事担当役員の國分さん に、コーチングセッションで業務外の話も扱うご許可をいただいたことも、心理的安全性を高めるために行ったデザインのひとつです。

加えて、クライアント本人の主体性を引き出すために、受講者が3ヶ月間で取り組む個人的なテーマを自分で決定するところからプロジェクト開始。3ヶ月後にそのテーマをどう終わらせたかを自分で発表する儀式を持つことで完了させるというデザインとしました。

プロジェクト進行

前述の通り、研修メンバーは公私の別なく、一人の人間として真剣に向き合いたいテーマを存分に話しました。中には、大きな自己発見や成長のきっかけを掴んだメンバーもいました。(インタビュー記事  佐藤陽介さん 杉山由莉さん

日々の業務で超多忙な皆さん。実は、急なお仕事のご都合で事前にお約束したセッション日時が変更になることも多々ありました。時には、1度のセッションのリスケが2度、3度と重なるケースも…。それでも、なんとか担当コーチと調整を重ね、最後まで諦めずにセッション時間を確保する意思を貫いてくださいました。

最初の対話会ではかなり緊張感があった研修メンバーも、3ヶ月間の間で少しずつコーチとの関係性が形成され、コーチングセッションが進むにつれだいぶリラックスした面持ちになりました。最後は、自分の3ヶ月間の変化の言語化や、テーマへの取り組みを完了する宣言を行い、他のメンバーの宣言を見届け、大団円となりました。

プロジェクトラップアップ:組織テーマのエスカレーション

3ヶ月という期間を通じてグループ・組織としてお見立てした傾向は組織テーマとしてまとめ、プロジェクト最終報告として平良さんにもご同席いただき、進言を申し上げました。経営者にとっては耳の痛いこともお伝えさせていただきましたが、平良さん・國分さんともに「なるほど」「やはり」と懐深く受け止めてくださり、今後の社内のお取り組みに活用くださるご意向をお示しくださいました。

担当者総括

プロジェクト開始前のヒアリング時、THECOOの経営メンバーである平良さん、國分さんのお二方にとって、社員は仲間であるという前提がおありだということを受け取りました。また、お二方がメンバーの自由な創造性の発揮をワクワクしながら待っているのだということを拝察し、あたらしいスタイルの組織だ!とひそかに感動を覚えていました。しかし、THECOOというエキサイティングな環境の中で成長する人財の特性は?というと、プロジェクト設計当時はまだ明確にイメージができていなかったというのが正直なところです。

今、若いリーダーたちとの3ヶ月の研修を終え、THECOOという組織でいきいきと創造性を発揮するリーダーのコンピテンシーをひとつ言語化させていただくとしたら、それは「おもしろがる力」です。創造や冒険はもちろん、困難や大失敗もまた経験としておもしろがることができるリーダーがいるチームや組織は、メンバーもまた個人の創造性を発揮でき、挑戦できる好循環が生まれることでしょう。そしてそんなカルチャーこそが、新規性の高いサービスを世に生み出し続けるTHECOOにふさわしいであろうと感じました。

今回の研修を受講された皆さん個人の力としてももちろん、THECOOの土壌に「おもしろがる力」の種がますます芽吹き、根付き、ジャングルのような多様性を誇る組織文化となりますよう!

(担当:原 美香)


 
 

代表対談:平良 真人さん

仲間がいたから今がある。平良氏が語る社員への願い

よきとものサービスを導入いただいたTHECOO株式会社 代表の平良真人さんにお話を伺いました。
なぜ会社を経営しているのか、モチベーションはどこからくるのか、社員への思いなど、経営者視点でのリアルな話を、弊社CEO江尻との対談でお届けいたします。

仲間がいたから何かできると思えた

江尻: まずは、THECOOという会社を立ち上げた経緯をお伺いできますか?

平良さん: 実は、会社をやろう!と思って始めたわけではないんです。

当時勤めていた会社を退職しようか悩んでいたとき、同僚の下川(現THECOO株式会社COO)へ、悶々としていた気持ちを打ち明けたんです。

何か新しいことに挑戦したいと話したら、下川が、それなら一緒にやろうと言ってくれて。気付いたら代表取締役になっていたという感じです。

僕の場合、これをやりたい!ではなく、この人がいるなら何かできるだろうと思ったことがきっかけになっています。

江尻: 仲間がいたから何かできるって思ったんですね。それが背中を押してくれた?

平良さん: それしかないですね。優秀で尊敬できる仲間がいたから、確信があった。そして自分達の持っている武器を使ってできるものは何か考えたときに、インターネットのオンライン広告のマーケティングだなと。始まりはそこからですね!

江尻: 仲間がいるから何かできるって分かるなぁ。

僕も前職を辞めて、株式会社よきともを始めるまでは、5年くらい何がしたいのか漠然としていた時期があった。でもある時ピンときて、仲間にこれどう思う?って話をしたのが始まりです。そこに共感してくれた仲間の後押しがあって今がある。人が共感してくれて、やりましょうよって言ってくれることって何よりの後押しになりますよね。平良さん個人のモチベーションや情熱ってどこから生まれるんですか?

平良さん: 僕、圧倒的に無理だなと思うことには興味がないんです。でも、ちょっと無理があるけどいつか自分にもできそうって感じるものが好きで、そこに挑戦し続けたいんです。

自分が持っていないものやまだまだ届かないな、と感じるギャップをどう埋めることができるかと常に考えていますね。

江尻: なるほどね。それぞれの分野で達人がいてその道筋を攻略しているっていう感覚なのかな。楽しいって思うその気持ちは、THECOOを立ち上げてずっと続いてますか?

平良さん: ずっと楽しいですね!

この会社を立ち上げてからずっとギャップを感じますし、常に初心者の気持ちです。経営は複雑だけど面白い。自分でこの道を選んでるから楽しくてしかたがないです。

江尻: 昔、一緒に台湾でEC事業を立ち上げたときも大きなチャレンジでしたよね。あれもギャップを埋めることが、平良さんのモチベーションになっていたんだろうなぁ。

実はあの時、平良さんは人を本当に大切にしているなと感じて、それが僕の印象に一番残っています。

一人でできることは1でしかない

平良さん: 僕、人に興味がないでしょと周りに言われることがあるんですよ(笑)

でもそんなことはなくて、人の分からなさが面白いと思っています。

台湾で江尻さんと一緒に働いていたとき、現地の言葉は分からないし、大変でしたけど、“人と人”で付き合えていた気がします。体で感じたいタイプなんですよね。

江尻: ”人と人”の付き合いは体感覚なんですね。平良さんにとって、人が集まり、一緒に働くってどんなことですか?

平良さん: 一人で働くって不可能ですし、そもそもお金を稼ぐこともできないですよね。早く行きたいなら、一人で行きなさい。遠くへ行きたいなら、みんなで行きなさい。[1] という言葉があるように、関係性が増えれば増えるほど複雑になる。でも、その繋がりが強固になって、できることも増えるので圧倒的に楽しいです。

江尻: 僕も同じ考えだなぁ。死ぬほど頑張っても、一人できることって1でしかないですもんね。例えば、部下5人へ仕事のやり方を自由に考えてもらう。そうすると、自分では考えつかないようなアイディアが出てくることも多いから。

平良さん: そうですよね!経営していると、決めてくれと言われる場面が多いじゃないですか。あえて、僕は決めないようにしています。責任は取るから、それぞれが考えて自発的に動いてほしいと思っています。

江尻: 自発的に動くって、自分が面白いと感じることか、本当にやりたいことかどうか、ですよね。なぜそれをやるの?って聞いたときに、「面白そうだから」だとチャレンジ精神に繋がるのかなと。

平良さん: 自分が面白いことが何か、本当にやりたいことは何かを分かっている人って幸せな人だと思います。そのポイントを会社のメンバーと一緒に見つけられることができたら楽しいし、僕も幸せだと感じますね。

自分の中に「原点」を作れ

江尻: 一緒に見つけるために、社内で何かやっているんですか?

平良さん: 例えば、メンバーに今後どうなりたいか聞いたときに、ポルシェに乗りたいと言う人がいたとします。その理由をどんどん深堀りするんです。

なんでポルシェなの?ポルシェがかっこいいから。なんでかっこいいと思われたいの?人から憧れられたいから。深堀りしていくと、自分の本質に気付くことができる。

僕が小学生の頃の忘れられないエピソードがあって。お小遣いを貯めて、欲しかった最新のウォークマンを手にしたら父にめちゃくちゃ怒られたんですよ(笑)

別ブランドの製品を並べて、何が違うか分かるか?と聞かれて。僕は有名ブランドの最新商品というだけで選んでいたんですけど。

父が伝えたかったメッセージは、価値の本質を見極めろ、自分の中に価値の座標軸(原点)を作れということ。今でも常にそれを考えるようにしています。原点があるとブレないので。

江尻: それ、もう無意識のコーチングだなぁ(笑)僕は、コーチングに出会うまで自分が何をしたいのかって考えたことなかったんですよ。だから小学生の頃からそれをやっているのはすごい!

平良さん: そうなんですかね(笑)社内のメンバーや採用で会う人にも、その人の原点を見るように心がけています。一緒に働くメンバーにも自分の原点を見つけてほしいですが、その作業はしんどいんですよね。

江尻: 原点を見つけるって自分を深掘りしていくことだから、誰にとってもハードな作業だと思います。

でもその人自身の原点がはっきりしていると、チャレンジや伸びしろも分かる。だからこそ、平良さんは原点を見ているんだろうな。

平良さん: その通りかもしれません。僕自身、今の自分の原点から目指す場所の位置を図に描いて、状況を把握するんですよ。

例えるとドラゴンクエスト [2] のマップみたいに、上から自分を俯瞰した状態で見るようにしています。

江尻: 面白い!原点は自分の内側の感覚で、俯瞰することは真逆のように感じるけど、平良さんは両方を行ったり来たりしてるんだ。

平良さん: そうだと思います。例えば、お金がなくなったとき自分の状態は辛い。でも、俯瞰してその状況を見ると「なんだお金がなくなっただけじゃん」と感じられるんですよね。

反対に順調なときでも、だからなにという感じで(笑)どんな状況でも淡々としてます。

でも俯瞰しすぎると虚しくなってしまうので、原点に戻るバランスが大事です。経営者としては原点にいて、没頭して楽しんでいます。没頭していると、自然と仲間も集まってきてくれるんですよね。

江尻: 平良さんの話を聞いて考えてみると、僕は原点しかなかったタイプかも(笑)自分以外の世界はどうにもならないから関係ない存在って思っていました。哲学を学んでいく中で、やっと最近俯瞰できるようになった感じです。 平良さんは一緒に働く仲間にも、自分の原点を見つけてほしいと願ってるんですね。

平良さん: はい、僕と同じようなやり方ではないかもしれませんが、そう願っています!

その中で多様性が生まれ、様々な物の見方ができるようになれば、何かしらの課題を解決できると思うんです。

江尻: なるほど。コーチングは自分の原点はどこか内省 [3] すること、視点を変えていろんな角度から物事を見ることのサポートもします。平良さんは自然にそれを実践してきたんですね!

よきとものサービスを導入してみて

江尻: 今回よきとものサービスを導入いただいた意図も、今のお話につながるんでしょうか。

平良さん: もちろん、原点を見つけてほしいという願いもあります。でも一番は、自分を客観的に見ることができたら生きやすいということを伝えたかったんです。

客観視はテクニックだと思っています。人生でそのテクニックを持っていたら、迷いがなくなるはず。だから、それを知って欲しかったんです。さらに言うと、自分の原点と相手の原点も分かれば、お互いの関係値が分かって仕事もしやすくなるだろうと。

江尻: まずは原点の存在を知って、言語化して俯瞰する。それが第一歩ということですね。今回実施してみて、何か変化はありましたか?

平良さん: まだ途中ですね。そんなすぐに分かることではないですし、スタートが切れたことに意味があったと思っています。実際に、本当は自分はこうだったんだと気付いたという声もよく聞きます。自分の原点を知ることが何なのか、分かってくれたことが嬉しいですね!

江尻: それは良かったです!

よきとものサービスがみなさんの原点に気付くきっかけになっていたら、僕らもとても嬉しいです。まさにそれは、僕らの「原点」です。 今日はありがとうございました!

Profile

平良 真人 / MASATO TAIRA

THECOO株式会社 代表。
神奈川県生まれ、一橋大学社会学部卒。
伊藤忠商事、ドコモAOL、SONYにて営業 ・マーケティング・ビジネス開発に携わる。
2007年、Googleへ。 2010年からは統括部長として第二広告営業本部を立ち上げ、営業基盤の確立を通して同本部の 成長に尽力。三度の飯よりロックが大好き。

[1] "If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together." アフリカの諺。
[2] プレイヤー自身が主人公となり、ファンタジー世界を冒険するロールプレイングゲーム(RPG)シリーズ。
[3] 自分自身の考え、言動などを客観的に深く省みること。