Case
Study

事例紹介

税理士法人フューチャークリエイト

Case Study. 02

Index

プロジェクト概要

対象
社員 17名
名称
自分と相手の強みを知るワークショップ
内容
ストレングスファインダー®の基礎知識インプットと対話会の2部構成
期間
当日(4時間)
提供方法
オンライン
主幹
代表 島元宏忠さん

提案の背景

税理士法人フューチャークリエイト(以下フューチャークリエイト)の代表、島元さんからご相談を受けたのは2021年7月のこと。1ヶ月後に「税理士法人シマ会計」からフューチャークリエイトへの社名変更と、大幅な組織変更を控えていらっしゃる時期でした。

島元さんは、新しい体制でフューチャークリエイトのミッション「日本中の中小企業を強くする」をさらに拡大し押し進めていくと同時に、このミッションを支える一人ひとりのメンバーが自律して、お互いに成長し合える関係性になることにも、力を尽くしておられました。

社内の関係性を、単に「仲のよい」だけではく、本質的な部分でお互いの理解を深め、尊重した上でいいも悪いも率直に言い合えるようにしたい。さらには関係性の質を上げることで、生産性・業績も上がる好循環サイクルを目指したい( 島元さん 対談記事)、というのが島元さんのご要望でした。

社員の関係性の質を上げる第一歩として、すでに社内で実施済みのストレングスファインダー®のアセスメント結果を最大限に活用することを考えました。まずは「コミュニケーションの共通認識を作る」ことを目指し、よきとものサービスのひとつ、ストレングスファインダー®ワークショップをご提案し、採用いただく運びとなりました。

ワークショップデザイン

本ワークショップでもっとも重きを置いたのは、資質の持ち主が自分の強みをどう受け取っているかを語り、聴く側はその人がどんな場面でその強みを発揮しているのを見たかを伝える時間です。

資質という「共通言語」を使って、自分の強みを理解し、語り、かつ他者からそれがどう見えているかの客観的なフィードバックを受けとること。他者の強みの体験を聴き、自分とは違う視点や世界観がその人にあると理解すること。この双方の体験が、フューチャークリエイトの目指す「本質的な部分でお互いの理解を深める」という関係性に踏み込んでいくきっかけになることを意図したものです。

そうした意図から、より率直でオープンな場を作るために、代表の島元さんも一参加者としてワークショップにご参加いただくこととしました。

ワークショップの前半は、ストレングス認定コーチによる資質の解説をメインに、知識インプットの時間を設けました。資質が単なる情報でなく、実感をともなって理解できるように、参加者から実体験を聴く時間を多く盛り込んでいます。参加者が資質について同じ知識を持つことで、これ以降、資質をコミュニケーションの共通言語として使えるようにするための準備時間でもあります。 後半は、グループ別にそれぞれの資質について、日常の体験を共有する対話の時間としました。
個人の資質が「こういうところあるよね」という性格診断的な感想で終わらないよう、その資質についてリアリティを持っていただけることを最重要視しました。一人ずつが充分かつ公平に語り、かつ相互理解の対話もじっくり行えるように、時間の配分も含めた設計の工夫を凝らしました。

ワークショップ当日の様子

4時間のオンラインワークショップでしたが、皆さん最後まで集中して取り組んでくださっていました。

ご自身の強みを発表すると「その強みは前からすごいと思っていた」「こういう時に助けてもらいたい」など、周囲から称賛とアイデアが積極的に出てくる場面がたびたびありました。「この資質のために、うまくできないことがある」と、参加者全員の前で課題を吐露してくださった方もいらっしゃり、ふだん仕事の場ではなかなか言えないことが話された時間だったことが伝わってきました。

また、実施後のアンケートでは「他の方の資質が知れてよかった」「これからは苦手なことはひとりで抱えず、他の人と強みを貸し借りしたい」という感想を少なからずいただきました。ご自身だけでなく、他の方の資質についての理解を深められたこと、日常言えなかった弱みや悩みを伝え、サポートし合う視点が生まれたことが見受けられました。

担当者総括

ワークショップ全体を通じて、フューチャークリエイトの素晴らしい資質のひとつが「他者を尊重し、チームワークを大事にする」であるのだと感じました。自分と相手の強みを十分に理解しあい、お互いをサポートしあうことで、フューチャークリエイトのビジョン「集合天才」がどんなにパワフルに進化していくか、これからの未来が楽しみでなりません。

同じ資質であっても人それぞれに表現や行動が違い、違うからこそ新しい視点やアイデアが生まれる。そんな当たり前ともいえることを、あらためて目の前で体現してくださった参加者の皆さんに、心から感謝申し上げます。

フューチャークリエイトの皆さんがご自身ならではの資質をさらに輝かせるために、組織がダイナミックに成長していくために、よきともが少しでもお役に立てていたら、心から嬉しく思います。

(担当:細沼 雅子)


 
 

代表対談:島元宏忠さん

人が集まり、つながることで、未来は開けていく。
「集合天才」の組織を目指して

よきとものストレングスファインダー®ワークショップを導入いただいた税理士法人フューチャークリエイト代表の島元宏忠さんにお話を伺いました。
ワークショップ後の変化、多様性への願いや未来の目標について、たっぷり語っていただきました。 今回も弊社CEO江尻との対談でお届けいたします。

結果の質を求めるなら、まず関係性から

江尻: そもそも島元さんは、よきともとワークショップを実施する以前から、ストレングスファインダー®のコーチ資格を取得されていたんですよね。

島元さん: はい。最初は、自分でストレングスコーチとして、社内でストレングスファインダー®を使ったコーチングをやろうと考えていたんです。でも、時間的なことや能力的なことから、自分じゃ無理だと思って、よきともさんに相談させてもらいました。

江尻: 経営者が自分でやろうとすると、メンバーからの本音をなかなか引き出せないかもしれませんね。僕らのような第三者がカジュアルに関わっていく方が、ビジネス的な緊張がほどけるように思います。

島元さん: そうですね。大きなテーマとして、MIT(マサチューセッツ工科大学)のダニエル・キム教授が提唱した「成功循環モデル [1]」 を見習って、最初から「結果の質」を求めるのではなく、まず「関係の質」を良くすることで「結果の質」を良くしていく。これを実践しようと考えていました。

ワークショップ実施後の変化

江尻: 今回そんな経緯のもと、よきとものストレングスファインダー®ワークショップを導入いただきましたが、当日は島元さんにも一参加者として入っていただきましたよね。どうでした?

島元さん: 社員の皆とわかり合うのは楽しかったですね!相手の資質がわかるのも楽しいし、自分の資質をわかってもらうのも楽しかった。

自分の資質から、強みと弱みがわかったことも大きなメリットでした。僕がやらないといけない得意なこともあるけれど、逆にやってはいけないこともある。役割の自己認識ができました。

江尻: やってはいけないこと、というと?

島元さん: 僕の資質に「個別化」があります。常に「人それぞれの個性を尊重しよう、人それぞれの事情になんとか対応しよう」と考える意識が働くんです。でも、それは強みであると同時に弱みでもあります。

例えば、僕は会社のルールを作る立場です。なのに、顧客から「この料金、安くなりませんか?」と言われたら「いいですよ!」と簡単に会社のルールを変えて値下げしてしまう。そこに「個別化」が働いてしまうからです。

この働きに気付いて、「僕は営業しない!」と周りに宣言しました(笑) 資質を言語化したことでよりオープンに、やること、やらないことが明確になりました。

江尻: 強みの裏にある弱みに気付いて、さらにやらないことを宣言したんですね!代表が営業しなくてもいい組織、サービスを目指すという視点も素晴らしいなぁ。

島元さん: ワークショップ後の変化としては、社内が活発になっていると感じます。

フューチャークリエイトは7月が決算で、8月から新年度です。年度毎の経営計画は、グループから目標を出してもらって皆で作ることになっています。ですがそれは建前で、これまで具体的な指示を出すのは僕でした。

ところがワークショップ後は、グループの動きが活発になり、各部署が目標を積極的に上げてくれるようになりました。ある意味、勝手に…(笑)

江尻: まさに目指していた「関係の質」が高まった、ということですね。チームの中で話し合い、チームで自主的に動けるようになったと実際に聞くと、すごく嬉しいです!

島元さん: 通常なら、(ワークショップ実施前の)決算前に経営計画を立てるのですが、それがずれたのが幸いしました。タイミングがすごく良かったです。

多様性を束ねることで、会社に大きな柱ができる

江尻: 「勝手に動き出している」ということからあえて聞くんですが、それぞれが勝手に動き出す多様性を尊重すると、組織がバラバラになる心配はないんでしょうか?

島元さん: 心配ないと思います。会社が求めるビジョンに、個人の多様性が重なり合うことが重要なので。多様性はバラバラなものと捉えてしまいがちですが、僕はそうではなく、多様性を束ねることでこそ、会社に大きな柱ができるんだと考えています。

江尻: 今回のワークショップで、最後に島元さんからいただいたスピーチ。「皆は違っていていい。僕たちは集まって最高の1人の天才を凌駕するんだ!」とバーンと熱く語ってくださった。あれが、フューチャークリエイトの皆が集まった、1本の大きな柱なんだと思いました。それぞれ違っていてもいい。「僕たちの柱はこれだ!」という共通認識を持つことが大事なんですね。

島元さん: まさにそうですね! フューチャークリエイトは、柱の基になる多様性を大事にしているんです。

一般的な会計事務所では、簿記や税理士試験を勉強した人たちだけが集まるんですが、当社はあまり関係ないところからも採用しています。僕の仕事は、多様性を発揮できる環境を作ることなんだとも考えています。

江尻: ということは、会計や経理の経験がない人も採用しているんですか?

島元さん: はい、採用しています。当社のカルチャーとして「自律性」「素直さ」「コミュニケーション」「ポジティブ」「順応性」 と5つのキーワードを揚げています。それに合う人なら、どのような経歴の人でもいいという考え方で採用しています。会計事務所では、ちょっと珍しいかもしれません。

集まって天才になろうよ

江尻: それはいいですね!ワークショップのスピーチでも強調されていた、フューチャークリエイトさんのビジョン「集合天才」も、そうした考えから出てきているんですか?

島元さん: 明確に打ち出したのはつい最近ですが、以前から「『集合天才』っていい言葉だな」と思っていました。「集まって天才になろうよ」と、経営計画書でも掲げています。

江尻: 最初お聞きしたときは「集合天才」って何だろう?と思ったんですが、説明を伺って納得しました。僕も同じような考え方を持っています。

1人のスーパースターに全員がついて行くビジネスモデルは確かにあります。ベンチャーなどは割と社長がワンマンで、社員は皆フォロワーみたいな。僕自身も、今の会社を立ち上げる前はずっとワンマンでした。

でも、そのスタイルだと限界があるし、とても疲弊します。それに良いアイデアは自分の頭だけじゃ出ない。いろんな人のアイデアを募った方がいいですよね。思いもよらないものが生まれてくる可能性もある。

島元さん: お互いに皆が主役で、お互いを盛りたてる。お互いの力を発揮しながら、相手の力も存分に活かしていく「集合天才」組織にしたいですね。

江尻: 「集合天才」と聞くと、ひとりひとりが天才になると捉えてしまうけれど、サポートする天才もいて、皆で相乗効果を作るのがいいですよね。

島元さん: まさに、そう思います。そもそも僕は、リーダーシップを取ってガンガン行くタイプではないんですよ(笑)

江尻: そうは言っても、大きな税理士事務所を、しかも15年間継続して経営しているのは、すごいリーダーですよ。

島元さん: ありがとうございます(笑)
さっきの「個別化」の話のように、僕のリーダーシップスタイルは、強く畏れられるリーダーではなくて、弱いところも見せる、慕われるリーダーなんだと実感しています。

企業の未来を支援する

江尻: フューチャークリエイトさんはこれから、どういう組織になっていくんでしょう。

島元さん: メンバーを5年で100人に増やしたいと考えています。その計画はすでに立てています。でも、一気に取り掛かると崩れると思うので、そこは慎重に進めるつもりです。

江尻: 慎重に、かつ大きなチャレンジをし続けるんですね!
会計士さんや税理士さんで、島元さんのように、異業種からもメンバーを集めて「でっかくなろうぜ!」と奮起して会社を経営している方は珍しいと思います。

それに、島元さんがメンバーを増やして会社を大きくするのは「日本中の中小企業を強くする」という夢を実現するため。それを目指すには大きくするしかないと考えている。こんな壮大なビジョンを持って本気で取り組んでいる人は、めったにいません。すごく独創的ですよね。

これから創業する会社とか、これから成長しようとする会社、これからの人に、フューチャークリエイトの思想はマッチするんじゃないでしょうか。僕はすごく成長性を感じています。

島元さん: ちょっとほめ過ぎですよ(笑)

でも、新しいこと、便利になることはどんどんやっていきたい。顧客にメリットになるなら積極的に取り組んで行きたいと思っています。

江尻: 具体的に目指すゴールはあるんですか?

島元さん: 我々が目指しているのは、中小企業の経営者の皆さんに「経営計画」を作っていただくことです。

税理士はクライアントの代理として、確定申告や青色申告の承認申請などの税務を代行するのが業務です。言ってみると過去の整理をすることが仕事。それではつまらない。過去の集計した資料を活用して、未来に役立てることに取り組んでいます。

江尻: 中小企業の未来をサポートしようと考えているんですね。

島元さん: はい、数字にもっと興味を持って、考えを未来に向けて欲しいです。

江尻: 言ってもなかなか通じない「壁」はいろんなところにあると思います。「僕たちはこうだから」と、聞く耳が持てなかったり、自分を制限してしまったり。それでは効率は悪いし、生きづらい。もったいないです。

フューチャークリエイトさんの「集合天才」のように、人が集まってつながっていくことで、未来と創造性は開けていく。自分だけでは見えないものが見えてくると思います。島元さんたちが数字なら、僕たちは対話を通じて、そこを支援していきたい。根本の願いは同じかもしれません。分野は違えど共通の想いがあるように感じて、お話しできて嬉しかったです。

今日はどうもありがとうございました!

Profile

島元 宏忠 / HIROTADA SHIMAMOTO

税理士法人フューチャークリエイト 代表。北海道小樽出身。1997年大原簿記専門学校卒業、2004年税理士登録。 大手会計事務所勤務を経て07年に独立。14年税理士法人化。 趣味は勉強。自分を高めるために、知らないことにチャレンジし続けています。

[1] 組織の「関係の質」を高め、相互理解と尊重が生まれると、仕事が面白くなり、自ら気付く「思考の質」が上がる。それにより積極性や主体性といった「行動の質」も上がり、「結果の質」へつながる。「結果の質」により、さらに「関係の質」が上がる…という循環モデル。目先の数字や成果などの「結果の質」の追求からスタートすると、「関係の質」「思考の質」「行動の質」は下がっていき、バッドサイクルとなる。