Case
Study
事例紹介

株式会社クオカード
Case Study.
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Index
プロジェクト概要
- 対象
- ①女性社員・管理職社員 39名
②社員36名
- 名称
- ①ディープリスニング
②ストレングスファインダー®活用施策・女性社員対象キャリアデザイン
- 内容
- ①社内施策に向けた課題ヒアリング・アイデア収集
②自己理解・他者理解を深めるグループワーク
- 期間
- ①2021年10月~12月
②2022年5月~8月
- 提供方法
- オンライン
- 主幹
- 人事・総務部
株式会社クオカード(以下クオカード)さんと初めてお会いしたのが、ちょうど1年前、2021年の8月。そこから足かけ1年にわたって、よきともは2つのプロジェクトを伴走させていただきました。
ディープリスニング プロジェクト
2021年、コロナ禍でテレワーク化が進む当時、クオカードでは女性活躍推進のプランを検討されているところでした。まずは女性社員対象のプロジェクトとして、「当事者の生の声を聴くことが必要だ」というよきとものご提案に「社員の本音が聞きたい」というクオカードのニーズが合致し、最終的には女性社員の上司である部課長層まで対象を広げて、ディープリスニングを実施する運びとなりました。
近田社長の全社アナウンスを皮切りに、クオカードでは人事から対象社員に向けて、よきともでは話を聴く現場で、「本当にあなたの本音が聴きたい。何を話しても大丈夫です」という統一メッセージをお伝えし続け、できる限り心理的安全性の高い場づくりを目指しました。
また、ディープリスニングで話を聴かれること自体も自分事化してほしいという狙いのもと、聴くテーマも、私たちの聴き方も、「自分」に常にスポットライトが当たるようにデザインしました。
その効果もあってか、ディープリスニング中、対象者の皆様は率直に意見を伝えてくださり、「こんなに熱心に話を聞かれたのは初めて」という感想も多くいただきました。
ディープリスニングで聴こえた声を匿名の形でレポートにまとめ、近田社長、人事の方へご報告する場をもって、プロジェクトは完了となりました。
ストレングスファインダー🄬活用・
キャリアデザイン プロジェクト
ディープリスニングの結果報告のあと、クオカードでは全社員にストレングスファインダー🄬 [*]アセスメントや、各種研修の導入を進めていらっしゃいました。そうした全社的な動きをより膨らませ、後押しするためのご支援として、全社員対象のストレングスファインダー🄬活用、女性社員対象のキャリアデザインの2種類のワークショップを実施させていただきました。
ディープリスニングで聴こえてきた社内コミュニケーションのニーズを汲み、コミュニケーションの原点となる「自分はどういう人か」「自分はどうしたいか」を掘り下げることと、それを安全に他人に伝え、相互理解するためのツールを増やすことを目的に、ワークショップをデザインしました。別で進行している社内プロジェクトや研修との相乗効果が起きるよう、全社の動きにも目配りしながら、実施タイミングや伝えるメッセージをチューニングしていきました。
参加者の皆さんがオープンに、対話を楽しんでいらっしゃる様子が印象的でした。キャリアデザインのワークショップは、事前に小グループでの対話と内省の個人ワークがあり、盛沢山の内容でしたが、皆さん真剣に課題に取り組んでくださっていました。ワークショップ終了後、「やり切った!」というお声をいただき、いきいきした皆さんの表情からも、それをうかがい知ることができました。
参加者アンケートやワークショップ当日の様子、所感をまとめた報告の場をもって、プロジェクトの完了となりました。
担当者総括
プロジェクト関係者の皆さんが、「会社が本気で社員の本音を聴き、それを活かしていくんだ」というメッセージを伝え続け、行動し続けてくださったことが、何よりこの2つのプロジェクトの肝要であったと思います。
プロジェクトでご一緒した関係者、参加者の皆さんの思いや行動を間近で拝見し、組織と人の変化を生み出すエンジンになるのは、当事者の熱意と意思なのだと改めて感じました。
クオカードの皆さんがご自身のエンジンを思う存分駆動していくことで、組織のエンジンはさらに大きく、ダイナミックなものになっていくに違いありません。
(担当:細沼 雅子)
担当者インタビュー:山下 朝子さん
道を切り開くのは自分。
社員の本音が組織の未来をつくる
足かけ1年にわたる2つのプロジェクトをご一緒した、株式会社クオカード人事・総務部の山下さんに、当時の課題感やお考え、実施した感想をお伺いしました。実際に現場ではどんなことが起きていたのか? そんなリアルな声を、今回はモノローグインタビュー形式でお届けいたします。
会社と社員が同じ方向を向いていない
2021年当時は、社内で女性活躍推進に向けた企画が進む中、何をすることが社員にとって良いことなのかを模索していた時期でした。コロナもあって、そもそも社員の皆さんが会社についてどう思っているのか、自分のキャリアをどうしたいのかといった話を直接伺う機会もありません。
みんなそれぞれ思っていることも、目指している所も違う中、急に会社が「新しい施策やります!」とだけ言っても、社員も前向きには受け止められないだろうなと考えていました。
会社と社員が同じ方向を向いていなかったのが、入口の大きな課題だったのかなと思います。
「会社と社員が同じ方向を向いていない」という課題を改善していくには、社員が日頃語らない、ネガティブな意見も含めた本音も知らないと先に進めないと思いながらも、人事の私が社員の本音を引き出すことの難しさも感じていました。
そんなタイミングで、よきともさんから、社外の中立の立場から社員の声を傾聴し、レポートにしてくれるというディープリスニングをご提案いただきました。まさにそれですね!と、すぐに方針が決まったと記憶しています。
ディープリスニングで社員の本音を聞いて、安心できた
「本当に本音を話してくれるのだろうか?」と不安がる前に、まずは私たちから行動を始めよう。とにかく「会社としてなぜこういうことをやるのか」を、しっかり伝えていくしかない。そう考えて、全社的には社長から、対象者にはそれぞれ人事から、段階を踏んで社員へ説明をしました。
社員への説明を終えた後は、ドキドキしながらディープリスニングの進行を見守っていました。
このプロジェクトで私が一番不安だったのは、あの時期だったと思います(笑)
ディープリスニングの結果レポートを読んで、社員が否定的な意見も話してくれていたことがわかり、本当にホッとしました。「会社がネガティブなこともちゃんと聴こうとしている」という意思が伝わったんだと実感できました。
同時に、私たち人事が想定していた組織の課題と、社員が感じている課題にあまり乖離がなかったと知れたことも、安心材料のひとつでした。
実は、よきともさんへ相談している中で、自分がこの会社の社員のことを何も知らないことにハッと気が付く瞬間がありました。本当に社員は何を思っているか?本当に社員のためになることは何か?人事サイドからどんなに考えても、本当のところはわからないままでした。
たとえ同じ答えであったとしても、「多分こうだろう」と人事が想像している課題と、実際に社員の生の声を通して出てきた課題は、重みが違います。
ディープリスニングによって社員の本音の声が聴こえたおかげで、人事サイドが考えた課題ではなく、社員がリアルに感じている課題として解決していく糸口が見えました。
レポートに書かれていることは、受け止める側としては重たいワードもありましたが、それを次の一歩にどうつなげていくか、というよきともさんからの示唆をセットで報告いただけたのもよかったです。改めて振り返っても、とても意義のある取り組みでしたね。
自分の強みを活かす取り組みを、すべての社員に提供する
ディープリスニングから、自分の長所や強みを発揮することよりも、弱みを克服することにフォーカスした考え方が社内に根強いことがわかりました。自分の強みを知り、積極的に活かしていってほしい。それは私の個人的な願いでもあり、社員が自発的に動く組織を目指すために、会社として必要だとも思いました。
社員全員がそれぞれに、違う強みと可能性を持っています。だからこそ、一部の層だけでなく、全社員に対しての取り組みにしないと意味がない。社員の誰もが参加できて、自分の強みや可能性に気づくチャンスが持てる施策がしたい、という思いが、今年の取り組みにつながっていきました。
その気付きを反映して行った具体的な施策の第一歩として、2022年に全社でストレングスファインダー🄬 [*]のアセスメントを導入しました。社員全員の資質を可視化することで自分と同僚の強みを知り、社内コミュニケーションの際に、資質をニュートラルな共通言語として使えることを目指した取り組みです。
また、全社員のアセスメントと並行して、よきともさんに個々の資質をより掘り下げるお手伝いをお願いすることにしました。それが、2つ目にご支援いただいた、ストレングスファインダー🄬の活用と、女性社員を対象にした内発的動機を掘り下げる施策のワークショップです。
今回のワークショップでは、複数の人で同じテーマを扱うことを主眼に置きました。社員が自分の思いを自分の言葉で話し、それを同僚に聞いてもらう体験を通じて、ひとりで内省する効果を超え、他者を知り、他者との違いからさらに自分自身より深く知るという経験をしてもらいたかったからです。
「できることからやってみよう」という社員の変化
ワークショップ終了後、「自分の強みにフォーカスしていきたい」「何年も同じ会社で仕事してきたのに、お互いの思いや考えをほとんど知らなかった」という感想が多く寄せられました。参加した皆さんの晴れやかな表情を見ても、プロジェクトの目的は果たされたと実感しました。
プロジェクト後は、社員が自分の強みを活かし、主体性をもって動く意識は高まってきたと感じます。別の全社プロジェクトやスキル研修の応募で、以前は消極的だった方が積極的に手を挙げてくれたことはうれしい驚きでしたね。
それと同時に、課長層に部下のステップアップを前向きに応援するような雰囲気が出てきました。これもまた、想定外のうれしい副次効果でした。
皆さん、「何かできることからやってみよう」という心の変化があったのではと思います。
社員自らが「これをやりたい!」と動き出せる組織へ
これからの展望としては、これは社長も私たち人事も、常々社員へ伝えていることでもありますが、社員が「これが好きだ!」「これをやりたい!」と、誰に対しても遠慮なく言える、自ら動き出せる組織を目指して取り組んでいきたいです。
キャリアややりたいことに向かって、社員が自分自身で道を決めていく中で、社員ひとりひとりがビジョンを描けるようにサポートすることが、会社や人事の役目だと考えています。
ようやく取り組みを始めたばかりですが、「道を切り開くのは自分。会社と人事はそれをサポートしていきますよ」ということを、引き続き社員に伝えていきたいです。そして、その考えが当たり前の組織にしていくために、今後も私たち人事ができることを取り組んでいきたいです。
2つのプロジェクトを振り返って
~よきともとの共創~
1年にわたる取り組みを振り返ってみて改めて思い返すことは、おそらく私たちはこれまで、外部の人たちに、こんなに一生懸命相談したことはなかったということです。外部パートナーと一緒にプロジェクトを作り上げていくプロセスには慣れていませんでした。
それでも、今回の2つのプロジェクトをよきともさんに伴走いただき協働できたのは、よきともさんが先に結論ありきでなく、対話の中で私たち自身が私たちの言葉にする関わりをしてくださったおかげだったと思います。社外の人には普段なかなか言いづらい組織内部の課題感も、よきともさんには包み隠さず、本音でお話ができました。
これをしなければ!これがやりたい!と人事が抱えていた荷物を一緒に持ってくれる存在が本当にありがたく、私たち人事だけでは見えない新しい道を、一緒に探していただいたように感じています。だからこそ、ディープリスニングの後に続く施策も引き続きよきともさんに伴走をお願いする流れになったと思います。
プロジェクトの打ち合わせを通じて、自分の考えを話したり整理することで、実は私個人としても、人事の仕事を考え直すきっかけになりました。今は、一周回って原点に戻ったような気分でいます。
1年間本当に楽しかったです。ありがとうございました!
Profile
千葉県出身。早稲田大学法学部卒業後、住宅業界での営業経験を経て、2007年株式会社ティーガイアへ入社。2014年から人事・総務部にて、ダイバーシティ推進施策や、社員の能力開発・キャリア支援の取り組みに従事した後、2019年より株式会社クオカードへ出向。課長として人事業務の全般を統括。
[*] Gallup社が開発した自分の強み・才能を知るための自己理解アセスメント・ツール。